バイアグラの主な副作用
バイアグラの服用により副作用が現れることがあります。製造販売元のヴィアトリス製薬によると発現率は11.91%です。国内の年齢別副作用発現率(因果関係を否定できないもの)は以下のようになっています。
年齢 | 25mg | 50mg | 100mg | 合計 |
65歳未満 | 15.4% | 38.5% | 38.0% | 29.8% |
65歳以上 | 12.5% | 21.1% | 13.3% | 16.7% |
副作用の発現率に年齢による大きな差はなく、現れる副作用もほぼ同じとされています。[1]具体的に、どのような副作用が想定されているのでしょうか。
頭痛
服用後に現れやすい症状として頭痛があげられます。ヴィアトリス製薬によると発現率は3.87%(開発国:10.83%(157例中17件)、開発外国:13.24%(823例中109件)、使用成績1.08%(3,152例中34件))です。[2]最も現れやすい症状のひとつと考えられています。頭痛が現れやすい理由は、血管を拡張する働きがあるためです。このときに周辺の神経を刺激するため頭痛が起こります。激しい頭痛が生じるケースは少ないですが、日常生活に支障が生じる場合は服用を中止するとよいでしょう。あるいは、市販の頭痛薬で症状を和らげても構いません。
顔のほてり・紅潮
服用後に現れやすい症状として、ほてり・紅潮もあげられます。ほてりは顔が熱くなること、紅潮は顔が赤くなることです。ヴィアトリス製薬によると発現率は5.78%(開発国:10.83%(157例中17件)、開発外国:15.19%(823例中125件)、使用成績:3.08%(3,152中97件))です。[3]服用後に最も現れやすい症状と考えられています。これらの症状が現れる理由は顔の血管が拡張するためです。時間の経過とともに治まることがほとんどですが、血流が増えすぎると鼻血が出ることもあります。顔が熱くなったり、顔が赤くなったりした場合は念のため注意しましょう。
視力低下・視覚異常
発現率は1%未満ですが、感覚器に関する副作用が起きることもあります。比較的、割合が高いのが目の充血・結膜炎・彩視症です。目の充血の発現率は0.1%(開発国:0.64%(157例中1件)、開発外国:-、使用成績:0.1%(3,152例中3件))、結膜炎の発現率は0.1%(開発国:-、開発外国:0.49%(823例中4件)、使用成績:-)、彩視症の発現率は0.12%(開発国:0.64%(157例中1件)、開発外国:-、使用成績:0.13%(3,152例中4件))となっています。[4]彩視症は色の見え方が変わる症状(色が濃く見えるなど)です。
因果関係は明らかになっていないものの、海外でPDE5阻害薬投与中にNAION(非動脈炎症性前部虚血性視神経症)の発現が報告されている点にも注意が必要です。NAIONは視力低下や視力喪失の原因になりえます。発現した患者の多くは、同疾患の危険因子(50歳以上・糖尿病・高血圧・冠動脈障害・高脂血症・喫煙など)を有していました。服用により発現リスクが2倍になるとする報告もあるため、こちらも気をつけるほうがよいでしょう。[5]
腹痛・消化不良
消化器関連の副作用も報告されています。発現頻度が高いのが、腹痛と消化不良です。腹痛の発現率は0.15%(開発国:-、開発外国:0.73%(823例中6件)、使用成績:-)、消化不良の発現率は0.77%(開発国:0.64%(157例中1件)、開発外国:3.4%(823例中28件)、使用成績0.1%(3,152中3件))です。同じ消化器では、悪心も発現率が高くなっています。発現率は0.29%(開発国:-、開発外国:1.22%(823例中10件)、使用成績0.06%(3,152中2件))です。[6]これらの症状にも注意が必要です。
その他
以上のほかにも、循環器、肝臓、泌尿・生殖器、呼吸器、皮膚、血液などに関連する副作用が報告されています。発現頻度は、いずれも1%未満です。具体的には、胸痛・動悸・頻脈(以上、循環器)、AST増加(以上、肝臓)、陰茎痛・射精障害(以上、泌尿・生殖器)などが現れる可能性があります。因果関係はわかっていないものの、市販後に心筋梗塞が発生したとの報告がある点も見逃せません。発生頻度は不明となっています。[7]
バイアグラを服用してはいけない人
さまざまな副作用が報告されていますが、バイアグラは安全性の高いED治療薬と評価されています。ただし、次の条件に当てはまる方などはバイアグラを服用できません。
過去に服用してアレルギー反応が出た人
過去に行われた臨床試験で、発疹や痒みなど、アレルギー反応(過敏反応)を疑わせる副作用が報告されています。したがって、有効成分であるシルデナフィルや添加剤として含まれている青色2号などにアレルギー反応を起こしたことがある方は服用できません。シルデナフィル以外の成分にアレルギー反応を起こした方は、他のメーカーが販売しているジェネリック医薬品であれば服用できる可能性があります。気になる方は医師に確認するとよいでしょう。
バイアグラの併用禁止薬を服用している人
以下の薬剤を服用している方も服用できません。
【薬剤】
- 硝酸剤・一酸化窒素供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)
- アミオダロン塩酸塩(経口剤剤)
- 可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)
ヴィアトリス製薬は、明確な理由に基づき併用を禁止しています。例えば、硝酸剤・一酸化窒素供与剤は、薬剤の特性上、併用すると血圧低下を引き起こし命にかかわる恐れがあるため併用できないとされています。
心血管系に障害のある人
心血管障害により性行為が不適当と考えられる方もバイアグラを服用できません。性行為を行うと、血圧や心拍数などが増加するため身体に負荷がかかるからです。ちなみに、過去6カ月以内に心不全、不安定狭心症、命にかかわる不整脈を起こした方は、バイアグラの臨床試験から除外されています。これらに該当する方においては、安全性が確立されていないと考えられます。心血管に障害がある方は、服用の可否を医師に確認しましょう(心血管以外の理由で、性行為が不適当と考えられる場合も同様です)。
重度の副作用リスクを伴う持病がある人
持病によりリスクが高いと考えられる方も服用できません。代表例として以下のケースがあげられます。
【持病の例】
- 重度の肝機能障害
- 低血圧(血圧<90/50mmHg)または未管理の高血圧(安静時収縮期血圧>170mmHgまたは安静時拡張期血圧>100mmHg)
- 脳梗塞・脳出血・心筋梗塞の既往歴(6カ月以内)
- 網膜色素変性症
バイアグラは肝臓で代謝されるため、重度の肝機能障害があると排泄が遅くなる恐れがあります。それぞれの持病には、禁忌とされる明確な理由が存在します。これらの持病を抱えている方は、医師に相談してから服用しましょう。
未成年の人
EDは未成年でも起こりうる問題です。例えば、過度に緊張していたり、大きな不安を抱えていたりすると勃起しにくくなってしまいます。バイアグラを服用したいと考える方がいるかもしれませんが、未成年の服用は推奨できません。成人が服用するものとして開発されているためです。したがって、想定外の副作用が発生することも考えられます。また、インターネット経由で入手することも勧められません。インターネットで入手したED治療薬の約4割が偽造品という報告があるためです。 [8]
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バイアグラ副作用が出た時の対処法
副作用が出たときの基本的な対処法は次の通りです。
【対処法】
- 性行為を中断する
- 安静にして様子を見る
- 症状にあわせて対処する
何かしらの症状が現れた場合は性行為を中断します。無理をして継続すると悪化する恐れがあるためです。中断後は、安静にして様子を見ます。動悸やめまいなどが現れている場合は横になるとよいでしょう。ほてりや紅潮は体を冷やすと落ち着きます。頭痛がひどい場合は、市販の頭痛薬を服用することも可能です。症状が気になるときは、主治医に相談しましょう。
バイアグラによる副作用のリスクを減らすための注意点
重篤な副作用が起きるケースは少ないものの、バイアグラはさまざまな副作用が想定されています。ここからは、副作用のリスクを減らす取り組みを紹介します。
用法・用量を守る
高齢者・非高齢者を問わず、用量増加とともに副作用の発現は上昇する傾向が示されています。[8]服用時は決められた用量を守ることが大切です。日本国内における承認用量は1日1回25~50mgとなっています。1回あたりの用量を守っても、1日に複数回服用するなど用法を誤ると副作用が現れるかもしれません。用法も守って服用しましょう。常用薬との組み合わせにも注意が必要です。前述の通り、一部の薬剤とは併用できません。持病の治療で何かしらの薬を服用している方は、併用しても問題ないことを確かめておく必要があります。
使用期限を守る
バイアグラには使用期限が設けられています。使用期限を過ぎると、成分が劣化する恐れがあります。副作用が起こりやすくなるとはいえませんが、気をつけたいポイントと考えられるでしょう。使用期限を確認してから服用することも大切な取り組みです。
飲酒を控える
基本的に、アルコールとの併用は問題ないと考えられています。ただし、軽度の血管拡張作用を有するため、お酒を飲みすぎるとめまいやふらつきを感じやすくなるかもしれません。また、飲酒の影響で勃起しにくくなる恐れもあります。お酒を飲む場合は適量を心がけることが大切です。
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精力剤とバイアグラの違い
バイアグラと混同されやすいものとして精力剤があげられます。精力剤の定義は難しいですが、ここでは心身の疲労感を軽減して活力をサポートする医薬品または食品とします。バイアグラは、勃起不全を治療する薬剤です。疲労感を軽減したり性欲を高めたり活力をサポートしたりする働きはありません。精力剤とバイアグラは使用の目的が異なるといえるでしょう。また、精力剤とバイアグラでは使用するタイミングも異なります。前者は、毎日、使用することが一般的です。後者は、性行為の約1時間前に使用します。副作用のリスクは、精力剤のほうが低いと考えられています(具体的なリスクは製品で異なります)。
バイアグラは副作用に注意が必要
ここでは、バイアグラの副作用などを解説しました。副作用の発現率は11.91%と考えられています。発現率の高い症状として、頭痛、ほてり・紅潮があげられます。服用後に調子が悪くなったときは、性行為を中断して様子を見ましょう。用法・用量、使用期限を守ることなどでリスクを引き下げられる可能性があります。副作用が心配な方は、精力剤を検討するとよいかもしれません。詳しい情報が必要な方は、精力剤専門の薬局として豊富な実績があるあかひげ薬局にご相談ください。
[1] [2][3][4][5][6][7][8]出典:ヴィアトリス製薬株式会社「医薬品インタビューフォーム」
https://www.viatris-e-channel.com/viatris-products/di/pdf/vgr01if.pdf
[8]出典:日本新薬株式会社「偽造ED治療薬4社合同調査結果」
https://www.nippon-shinyaku.co.jp/file/download.php?file_id=125
内原 茂樹 / Uchihara Shigeki
株式会社ワン・ツー創業者
あかひげ薬局創業者
<略歴>
芳香園製薬に入社し、各地支店長を歴任したのちに、独立。
1987年に愛知県名古屋市に精力剤専門店あかひげ薬局を創設。
数多くのTV・ラジオ番組に出演
「おとなの子守唄」「艶々ナイト」「今夜もハッスル」などに出演。
<主な著書>
「中高年のための気持ちいいセックス」(1997年10月、現代書林)
「誰にも聞けなかった精力剤完全ガイド」(2001年3月、現代書林)
<メディア>
・艶々ナイト(テレビ埼玉)
・今夜もハッスル(サンテレビ) 等