精液が水っぽい原因
精液がいつもの乳白色のドロドロした状態から、透明でさらさらした状態に変化していると、多くの人は不安になるでしょう。この変化には、いくつかの考えられる原因があります。ここでは、考えられる原因について詳しく見ていきましょう。
精子の濃度が低下
精液が透明になった場合は、精子の数が少ないと考えられます。同じ原因で、さらさらした状態になることも少なくありません。WHOが定める精液検査正常値によると、精液量1.4mL以上、精子濃度の正常値は1,600万/ml以上です。精液が水っぽい場合は、これよりも濃度が低くなっている恐れがあります。精子の数は、造精機能や精子の通り道に何かのトラブルが発生することなどで減少します。例えば、性感染症の後遺症で精子の通り道が狭くなるなどが考えられます。
射精の頻度
精液の状態が変わった場合は、射精頻度が高すぎることも考えられます。複数回の性行為で精液の量が少なくなったなどを経験した方は多いはずです。短いサイクルで射精を繰り返している方は、休憩をはさみ様子を見るとよいでしょう。ただし、我慢を続けることもおす すめできません。禁欲し続けると死んでしまった古い精子から活性酸素が発生するため、精子の状態が悪くなってしまうからです。本来、理想的な射精の頻度は年齢にもよりますが、20~30代で1~2日に1回程度、40代を超えると週1回、50代で月1回と考えられています。精液が水っぽい場合は、射精の頻度を減らしてみるのも一つの方法だと考えられます。
亜鉛の不足
亜鉛は、食品などに含まれるミネラルのひとつです。体内では、ホルモンバランスの調整や精子の形成などに関わっています。したがって、亜鉛が不足すると精子濃度の低下や男性ホルモンの分泌低下などを招く恐れがあります。食生活が乱れがちで、精子の状態が変化した場合は、積極的に摂取したい栄養素といえるかもしれません。厚生労働省が発表している資料によると、成人男性における亜鉛の摂取推奨量は1日あたり11mgです(70歳以上は10mg)。[1]
早漏による影響
一部では、早漏も精液の状態に影響するといわれています。性的な興奮が高まる前に射精してしまうからです。このような状態で射精すると、わずかな精液しか出ない恐れがあります。早漏の原因はケースにより異なります。精神的な要因で意図せず射精してしまうこともあれば、刺激に慣れていないため意図せず射精してしまうこと、加齢の影響で筋力が衰えて我慢しきれず射精してしまうこともあります。原因に合わせて、対処することが重要です。
こちら記事では、精子・精液を増やすためにおこなう取り組みについて詳しく紹介した記事になります。あわせてご覧ください。
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飲酒・喫煙の習慣
喫煙は精子の量、密度、運動性、形態など、あらゆる面で精子に悪影響を及ぼす最も大きな要因であることが示されています。一方で、アルコールの過剰摂取も精子の量の減少につながる可能性が高いです。喫煙や飲酒といった生活習慣を改善することが、男性の精子の質を高める上で非常に重要です。禁煙やアルコール摂取の制限に努めることで、精子の質を改善し、妊娠の可能性も高められるでしょう。生活習慣の見直しは、男性不妊の予防や治療において、不可欠な取り組みといえます。
肥満
体重は男性の精子の量と質に大きな影響を及ぼします。中国の研究では、3,966人を対象に体重と精子の関連性を調査しました。その結果、太りすぎていると精液の量、総精子数、精子の運動性が低下することが明らかになりました。他の研究でも同様の傾向が見られており、肥満が精子に悪影響を及ぼすことが示唆されています。脂肪の蓄積は体内の酸化ストレスを高め、精子に損傷を与える可能性が高いです。
一方で、痩せ過ぎても精子の質と量が低下する可能性があります。痩せている男性の方が、太っている男性よりも精子の減少が著しいです。つまり、標準体重から大きく離れた状態、太りすぎても痩せすぎても、男性の生殖能力に悪影響を及ぼす可能性があるのです。適正な体重を維持することが、男性の健康と生殖能力の観点から重要だと言えるでしょう。
寝る前の電子機器の使用
最新の研究により、夜間やベッドで使用するスマートフォンなどの電子機器の使用が男性の生殖能力に関連していることが明らかになりました。イスラエルのアスタ医療センターが21〜59歳の成人男性116人を対象に調査した結果、夜の寝る前の時間にスマートフォンを使用すると精子の運動性が低下し、精液の質が低下することが判明しました。
ブルーライトを放出する電子機器の使用は、自律神経系に悪影響を及ぼし、睡眠の質を低下させる可能性があります。したがって、就寝前にスマートフォンやタブレットなどのブルーライトを放出する電子機器の使用を控えるようにしましょう。
理想的な射精の頻度
射精回数に関する明確な決まりはありません。しかし、年齢や状況に応じて適切な射精頻度を見つけることは大切です。妊活中は、1日1〜3回程度の射精が理想的とされています。この頻度であれば、精子の質を保ちながら妊娠の可能性を高められます。
一方、ED(勃起不全)の予防には、射精回数を増やすことが有効とされています。ただし、体調に応じて無理のない範囲で射精することが大切です。
また、前立腺がんのリスクを低減させるには、月21回以上の射精を心がけるのが良いとされています。つまり、3日に2回程度の頻度が目安です。
ただし、この回数は中高年にとっては厳しいかもしれません。射精の方法はオナニーでもセックスでも構いません。重要なのは、自分に合った方法で一定の射精回数を確保することです。
精液の色でわかる生殖機能
精液の健康状態は色から評価できます。具体的に、どのようなことがわかるのでしょうか。
透明に近い
正常な精液は乳白色です。これが透明っぽくなっている場合は、何かしらの原因で精子の数が減少している恐れがあります。前述の通り、WHOが定める精子濃度の下限値は1,600万/mlです。これは、精液1ml中に1,600万匹の精子が存在していることを意味します。ちなみに、精子の数が正常値を下回る状態を乏精子症、精子が存在しない状態を無精子症といいます。運動率なども加味しなければなりませんが、正常値よりも精子の数が少ないことは男性不妊の原因になりえます。
赤っぽい
精液が赤っぽくなっている場合は、何かしらの原因で出血から間もない血液が混ざっていると考えられます。この状態を血精液症といいます。血精液症の原因ははっきりとわからないことが少なくありません。例えば、前立腺や尿道の炎症で出血を起こしているなどが考えられます。血精液症は10代~起こりえますが、40代以降に多いといえるでしょう。背後に重大な病気が潜んでいるケースもあるため、症状を繰り返す場合は医療機関に相談が必要です。ちなみに、出血から時間がたった血液が混ざっている場合は、精液が茶色や橙色になります。
黄色っぽい
精液がもとから黄色っぽい方は、それほど気にする必要はありません。乳白色だった精液が黄色っぽくなっている方は、膿精液症(精液に膿が混ざっている状態)を発症している恐れがあります。膿精液症の原因は、前立腺・尿道・精嚢などの炎症です。炎症は、性感染症などで起こります。性感染症の種類によっては、男性不妊の原因になるため注意が必要です。パートナー以外の方と関係を持ってから精液が黄色っぽくなった場合は、検査を受けるほうがよいかもしれません。
精子の量の基準とは
WHOの精液検査基準では、精液量1.4ml以上、総精子数3,900万、精子濃度1,600万/ml以上、運動率42%以上、精子形態率4%以上が正常値です。これらの数値は、精子が少ない男性や薄い男性の基準であり、短期間で自然妊娠した男性のうち精液パラメーターの低い対5%を不妊の男性の境界線として基準値としています。
また、男性の精子量が過去40年で50%以上も減少傾向にあり、不妊の半数が男性が原因とされているのが現状です。WHOの研究によると、精子が少ない男性は糖尿病のリスクが50%、心臓疾患などのリスクが40%高いことが明らかになっており、精子の質と生命の関係性が大きいことが理解できます。
妊娠が可能な精子の数
男性の精子の量の基準は理解できたことでしょう。それでは、妊娠が可能な精子の数はどれくらいなのでしょうか。基本的に、性行為での射精を受け入れて自然妊娠するのに必要な精子の数は、総運動精子数が1638万以上必要と言われています。この総運動精子数は、精液量と濃度と運動率を掛け算で計算することで求めることが可能です。
しかし、この数値を満たしているのにも関わらず、2年間も不妊が続いている場合は、人工授精を検討する必要があるかもしれません。この場合は、信頼できる専門家に相談して、自分に合った適切な手段を選ぶようにしましょう。
水っぽい精液の改善方法
ここからは、精液が水っぽい場合の改善方法を紹介します。簡単に実践できる方法ばかりですので、精液の状態が気になった場合は試してみてください。
筋トレ
精子の質の改善に効果的と考えられているのが筋トレです。過去に行われた研究で、筋トレを12週以上継続したところ精液量を除く精液検査の項目が改善しています。また、筋トレには、テストステロンを増やす働きも期待できます。テストステロンは、生殖機能と深くかかわっている男性ホルモンです。
禁酒、禁煙
飲酒は精液量や正常形態率、喫煙は精液量、精密度、精子の運動率などに影響を与える恐れがあります。喫煙は、精液や精子に特に大きな影響を与えると考えられています。水っぽさが気になる方は、禁煙に努めるべきでしょう。もちろん、お酒の飲みすぎもおすすめできません。
下記では過度な飲酒と喫煙が性機能に及ぼす影響について詳しく解説しています。
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ストレスをためない
ストレスも、精液や精子に悪影響を及ぼす恐れがあります。過度なストレスがかかると、内分泌系のバランスが崩れ、テストステロンが低下し、精子をうまく作れなくなる恐れがあるからです。仕事や家庭などでストレスをためすぎないことも精液や精子の状態を保つ対策になります。適度に気分転換を図るとよいでしょう。
食生活の改善
食生活の改善も欠かせません。性機能を維持するため、さまざまな栄養素が必要になるからです。特に重要な栄養素といえるのが亜鉛です。亜鉛には、細胞分裂を助ける働きやDNAの合成を助ける働きなどがあります。不足すると、生殖機能が低下すると考えられています。亜鉛を豊富に含む食品としてあげられるのが牡蠣や豚レバーなどです。ただし、これらばかりを食べることはおすすめできません。摂りすぎると鉄や銅の吸収が妨げられるからです。また、精液の健康を保つには、ほかの栄養素も必要になります。バランスの良い食生活を心がけましょう。
サプリメントの摂取
仕事が忙しい、好き嫌いが多いなどの理由で食事の改善が難しい方は、サプリメントを利用してみてはいかがでしょうか。摂りたい栄養素をピンポイントで補うことができます。サプリメントの中には、生殖機能に悩みを抱えている男性に向けた商品もあります。必要な栄養素を効率よく摂りたい方は、このような商品を利用することもできます。
質の良い睡眠をとる
十分な睡眠時間と質の高い睡眠は、精子の量と質に良い結果をもたらすことが研究で明らかになっています。7〜7.5時間の睡眠をとる人は、7時間未満や9時間以上寝る人に比べて、精子の数や活力が優れています。また、睡眠の質が高い人は、質の低い人に比べて精子の質が良好です。一方、就寝前のスマートフォン使用やカフェイン摂取などの習慣は、質の高い睡眠を阻害し、精子の健康を損なう可能性が高いです。したがって、適切な睡眠時間を確保し、質の高い睡眠を心がけることが、優れた状態の精子を維持するために不可欠だと言えるでしょう。
精液が水っぽくて気になるときは「精液検査」へ
水っぽい精液が出ていて気になるときは、男性不妊の専門クリニックで精液検査を受けてみてはいかがでしょうか。ここでは、精液検査の簡単な流れを紹介します。まず、精液検査を受けると決めたら2〜5日間の禁欲期間を確保してください。その禁欲期間の後で、オナニーによって射精される精液を、100円ショップで入手できるプラスチック製の蓋付きの容器に全量採取してください。保管は室温で、保冷剤などの使用は避けましょう。あとは、1〜2週間以内に専門クリニックへ採取した精液を持ち込んで完了です。結果は、医師の詳細なコメントや精液の数値などをつけて当日中に伝えられます。
精子が気になる方は専門薬局に相談
いかがだったでしょうか。この記事では、精液が水っぽい状態の時に考えられる原因や対処法を解説しました。まずは、日頃の生活習慣を見直すことが大切です。適度な運動や、バランスの取れた食事の摂取も、精液の質の改善につながるでしょう。健康状態に合わせて、最適な方法を見つけていただくことをおすすめします。必要に応じて、専門家にもご相談ください。
あかひげ薬局は、300万人以上の購入実績を持つ、精力剤専門の薬局です。豊富な知識と経験を活かし、お客様の深刻な悩みに真摯に向き合っています。気になるところがあれば、ぜひご相談ください。丁寧にお話を伺った上で、最適な選択肢をご提案させていただきます。
[1]参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
内原 茂樹 / Uchihara Shigeki
株式会社ワン・ツー創業者
あかひげ薬局創業者
<略歴>
芳香園製薬に入社し、各地支店長を歴任したのちに、独立。
1987年に愛知県名古屋市に精力剤専門店あかひげ薬局を創設。
数多くのTV・ラジオ番組に出演
「おとなの子守唄」「艶々ナイト」「今夜もハッスル」などに出演。
<主な著書>
「中高年のための気持ちいいセックス」(1997年10月、現代書林)
「誰にも聞けなかった精力剤完全ガイド」(2001年3月、現代書林)
<メディア>
・艶々ナイト(テレビ埼玉)
・今夜もハッスル(サンテレビ) 等