EDと食事の関係とは?
EDと食事には深い関係があります。食事は、特に器質性EDと関わりが深いといえるでしょう。EDは機能性EDと器質性EDに分かれます。機能性EDと器質性EDは次のように説明できます。
【機能性EDと器質性ED】
- 機能性ED:不安や緊張、うつ病など、心理的な問題・精神的な問題により引き起こされるED
- 器質性ED:血管や神経など、臓器や器官の問題により引き起こされるED
器質性EDの主な原因といえるのが生活習慣病です。
具体的には、脂質異常症や糖尿病、高血圧などがあげられます。
これらの生活習慣病は、動脈硬化の危険因子です。動脈硬化は、血管が弾力性を失って硬くなってしまった状態を指します。
血管が硬くなると拡張しにくくなるため、性器の海綿体へ十分な血液を送り込めなくなります。これにより、十分な勃起を得られなくなってしまうのです。
生活習慣病の主な原因といえるのが生活習慣です。
具体的には、食事や運動、喫煙や飲酒などの習慣が主な原因と考えられています。
したがって、EDにお悩みの方は、食事を見直す必要があります。ただし、食事を見直すだけでEDが改善するケースは多くありません。
あくまでも、悪化させないための対策と考えるべきでしょう。とはいえ、根本的な問題を引き起こしている恐れがあるため、軽視することはできません。EDにお悩みの方は、どのような食事を心がければよいのでしょうか。
▼こちらの記事では、心因性EDについて解説した記事になります。あわせてご覧ください。
心因性EDとは|考えられる原因と検討したい4つの解決策
ED予防に必要な栄養素とは?
EDにお悩みの方が摂取したい栄養素として以下のものが挙げられます。
【摂取したい栄養素】
- 亜鉛
- DHA・EPA
亜鉛は、私たちの健康維持に欠かせない必須微量元素です。
亜鉛は、免疫機能や遺伝子発現、たんぱく質の合成などに関わっています。また、男性ホルモンのテストステロンとも関係しています。
亜鉛が不足すると、テストステロンが低下するとの報告もあります。テストステロンは、勃起や射精などに関わる重要な男性ホルモンです。
したがって、EDを気にしている方は、食事摂取基準量の亜鉛を積極的に摂取するべきといえます。
テストステロンは加齢とともに低下するため、中高齢は特に注意が必要といえるかもしれません。ちなみに、成人男性における亜鉛の食事摂取基準は1日あたり11㎎(75歳以上は10mg)です。
DHA・EPAは、私たちの健康維持に欠かせない必須脂肪酸です。具体的には、n-3系(オメガ3)脂肪酸に分類されます。n-3系脂肪酸には、血中中性脂肪の低下や血栓生成予防、血管内皮細胞の機能改善など、さまざまな生理作用を期待できます。
わかりやすく説明すると、血液をサラサラにする働きなどを期待できるといえるでしょう。したがって、EDを気にしている方が積極的に摂取したい栄養素と考えられます。成人男性におけるn-3系脂肪酸の摂取目安量は2.0~2.2g(20~49歳は2.0g、50~74歳は2.2g、75歳以上は2.1g)です[1]。
栄養素から見るおすすめの食事
亜鉛を豊富に含む食品として、牡蠣・牛肉・チーズがあげられます。
文部科学省が運営している食品成分データベースによると、牡蠣(養殖・生)は100gあたり14.5mg、牡蠣(養殖・フライ)は100gあたり11.9mg、牛(ビーフジャーキー)は100gあたり8.8mg、牛(ひき肉・焼き)は100gあたり7.6mg、チーズ(ナチュラルチーズ・パルメザン)は100gあたり7.3mgの亜鉛を含んでいます[2]。これらの食品を積極的に活用するとよいでしょう。
ただし、亜鉛の腸管吸収率は約30%程度しかありません。吸収率を高めたい場合は、一緒にビタミンCを摂取しましょう。
例えば、生牡蠣や牡蠣フライにレモンを絞って食べる、などが考えられます。
DHA・EPAは、魚の脂に多く含まれています。具体的には、カツオやマグロ、イワシ、サバなど、青魚に多く含まれています。
おすすめの食べ方は、旬の青魚を刺身で食べることです。焼く・煮るなどの調理は、DHAやEPAが流れ出してしまいます。とはいえ、すべての魚を刺身で食べられるわけではありません。調理したうえで効率よくDHAやEPAを摂取したい方は、蒸す・煮るなどで魚を調理して煮汁ごと食べるとよいでしょう。
この食べ方であれば、流れ出たDHAやEPAも摂ることができます。青魚が苦手な方は、αリノレン酸を含むエゴマ油や亜麻仁油を摂ってみてはいかがでしょうか。αリノレン酸の一部は、体内でDHA・EPAに変換されます。
NGな食生活とは?
EDが気になる方が避けたい食事もあります。代表的な避けたい食事は次の通りです。
【避けたい食事】
- カロリーが高い食事
- 脂質が多い食事
- 塩分が多い食事
カロリーが高い食事は肥満の原因です。肥満は、糖尿病・脂質異常症・高血圧など、さまざまな生活習慣病の危険因子と考えられています。
前述の通り、生活習慣病はEDと深く関わっています。したがって、カロリーが高い食事はできるだけ避けるべきといえます。暴飲暴食は控えましょう。
脂質が多い食事は、脂質異常症や肥満の誘因になります。それだけでなく、ED治療薬の効果を減少させる恐れもあります。
脂質の多い食事として、ファストフード、食後のデザート(洋菓子)、スナック菓子などがあげられます。特に、トランス脂肪酸を多く含む食事には注意が必要です。トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングなどをつかって工場で作られたスナック菓子やケーキ類などに多く含まれています。
トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増やして善玉コレステロールを減らすと考えられています。脂質の多い食事にも十分な注意が必要です。
塩分が多い食事も控えるべきといえます。塩分が多い食事は、高血圧の原因になりえます。血圧が高い状態が続くと、血管の内壁がダメージを受けて動脈硬化を起こしやすくなります。
塩分が多い食事として、カップ麺・漬物・塩サバなどがあげられます。ちなみに、男性におけるナトリウムの目標量(食塩相当量)は1日たり7.5g未満です[3]。
EDと生活習慣の関係
EDは、食事以外の生活習慣からも影響を受けます。具体的には、睡眠・運動・飲酒の影響が特に大きいといえるでしょう。ここからは、これらの生活習慣がEDに与える影響を紹介します。
睡眠
意外かもしれませんが、EDは睡眠時間ともかかわりがあると考えられています。浜松町第一クリニックが40~79歳の男性を対象に実施した調査で、睡眠時間が短い男性はEDを自覚している割合が高いことがわかったからです。
40~59歳と60~79歳において「EDではない」と回答した男性の割合は次の通りです。
【40~59歳における「EDではない」と回答した男性割合】[4]
睡眠時間 | 「EDではない」と回答した男性の割合 |
睡眠時間4時間未満 | 50.0% |
睡眠時間5時間 | 61.2% |
睡眠時間6時間 | 62.5% |
睡眠時間7時間 | 67.2% |
睡眠時間8時間 | 47.7% |
【60~79歳における「EDではない」と回答した男性割合】[5]
睡眠時間 | 「EDではない」と回答した男性の割合 |
睡眠時間4時間未満 | 22.2% |
睡眠時間5時間 | 34.3% |
睡眠時間6時間 | 39.5% |
睡眠時間7時間 | 34.0% |
睡眠時間8時間 | 33.2% |
「EDではない」と回答した男性の割合は、睡眠時間6~7時間が最も高くなっています。この結果から、睡眠時間が短すぎることも長すぎることもEDには良くないといえるでしょう。
6~7時間を目安に、睡眠をとることが重要です。
ちなみに、EDは睡眠時無呼吸症候群とも深い関係があります。
睡眠時無呼吸症候群はEDのリスクファクターです。経鼻的持続陽圧呼吸法(CPAP)の治療を受けることで、EDの改善を期待できます。
運動
EDは、運動習慣とも深い関わりがあります。
運動不足になると、骨盤内の血流も悪くなってしまいがちになるからです。EDは、何らかの原因で骨盤内の血流が悪くなることなどで引き起こされます。運動不足も重要な危険因子といえるでしょう。
ED対策におすすめの運動が、ジョギングやスイミングなどの有酸素運動です。有酸素運動には、血液の流れをよくする、体脂肪・内臓脂肪を減少させるなどの働きを期待できます。
つまり、ED対策だけでなく生活習慣病の予防にも効果的です。ただし、ED対策でサイクリングはおすすめできません。性器周辺の血管や神経を圧迫するため、EDを悪化させる恐れがあるからです。
長時間のサイクリングを検討している方は、注意しましょう。
もちろん、筋力トレーニングも効果的なED対策になる可能性があります。最もお手軽で効果的といえる筋力トレーニングがスクワットです。
下半身を効率よく鍛えられ、骨盤内の血流も改善されます。正しいスクワットのやり方は次の通りです。
【スクワットのやり方】
- 1.足を肩幅程度に開いて立つ
- 2.つま先を正面に向ける
- 3.背筋を伸ばした状態で膝が90度になるまで腰を落とす
- 4.足の力で身体を持ち上げる
- 5.1~4を繰り返す
腰を落とすときは、姿勢を維持しながら膝がつま先より前に出ないように意識します。きついと感じる方は、テーブルなどを支えに行う、あるいは膝の角度を調整するとよいでしょう。
頑張りすぎるとケガをしてしまうため無理をしないことが重要です。
飲酒
飲酒もEDに影響を与えます。お酒を飲みすぎると中枢神経の働きが抑制されてしまうため、勃起しにくくなってしまいます。
性行為前の飲みすぎには注意が必要です。また、毎日、お酒を飲みすぎていると、男性ホルモンのテストステロンが低下してしまいます。これによっても、EDは引き起こされる恐れがあります。お酒を飲む方は、1日の飲酒量をコントロールする、休肝日を作るなどの対策が必要です。
ちなみに、厚生労働省は、1日平均純アルコールで約20g程度におさまる飲酒量を勧めています。この量は、ビール中瓶1本程度です[6]。
基本的に、深酒はおすすめできませんが、少量の飲酒であればEDに良い影響をもたらすこともあります。飲酒にはリラックス効果を期待できるからです。緊張で勃起しにくい方などは、性行為前に少量のお酒を飲むとよいかもしれません。
▼こちらの記事では、お酒を飲みすぎると勃たない理由について解説した記事なります。
お酒を飲みすぎると勃たない理由と適度と考えられる飲酒量
EDにお悩みの方は食事を見直しましょう
EDと食事の関係について解説しました。毎日の食事は、EDに小さくない影響を与えます。EDにお悩みの方は食事を見直しましょう。ただし、基本的に即効性のある取り組みではありません。お困りの方は、35年以上の歴史と300万人以上の購入実績があるあかひげ薬局で精力剤や強壮剤についてご相談ください。
[1]出典:農林水産省「脂質による健康影響」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/fat_eikyou.html
[2]出典:文部科学省:食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl
[3]出典:厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
[4][5]出典:浜松町第一クリニック「食事や運動でED(勃起不全)を改善
https://www.hama1-cl.jp/about_ed/improve.html
[6]出典:厚生労働省:アルコール
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html
内原 茂樹 / Uchihara Shigeki
株式会社ワン・ツー創業者
あかひげ薬局創業者
<略歴>
芳香園製薬に入社し、各地支店長を歴任したのちに、独立。
1987年に愛知県名古屋市に精力剤専門店あかひげ薬局を創設。
数多くのTV・ラジオ番組に出演
「おとなの子守唄」「艶々ナイト」「今夜もハッスル」などに出演。
<主な著書>
「中高年のための気持ちいいセックス」(1997年10月、現代書林)
「誰にも聞けなかった精力剤完全ガイド」(2001年3月、現代書林)
<メディア>
・艶々ナイト(テレビ埼玉)
・今夜もハッスル(サンテレビ) 等